北九州 門司区・門司港の水
門司港の水は甘くおいしい。 そこで翻訳会社の調査隊出動。
北九州市水道局のホームページによれば、門司に配水している浄水場は2つ。 井手浦浄水場と葛牧浄水場だ。 基幹浄水場である井手浦浄水場は、東部地区(門司区、小倉北区、小倉南区).
の大部分に給水しているとのことなので、門司港エリアに来ている水は、主に井手浦浄水場からの水ということになるだろうか。
浄水
場名 |
供給能力
(m3/日) |
水源 |
供給エリア |
井手浦
浄水場 |
255,200 |
油木貯水池 (田川郡添田町)
ます渕貯水池 (北九州市小倉南区)
平成大堰 (大山国川、築上郡上毛町) |
門司区の一部
小倉北区の一部
小倉南区の一部
八幡東区の一部
戸畑区の一部 |
葛牧
浄水場 |
41,000 |
紫川 (伏流水)
紫川水源地 (小倉北区)
今町水源地 (小倉北区)
城野水源地 (小倉北区)
葛牧水源地 (小倉北区) |
小倉北区の一部
門司区の一部 |
出典: 北九州市水道局のホームページなど
門司港の水は、昔、船舶用として 「赤道を越えても腐敗しない水」 と評判が高かったらしい。 当時は、小倉の紫川の上流の福智ダム(現在の「ます渕貯水池」に吸収され水没した模様)から引いてきていたということであるから、現在の井手浦浄水場の水源の1つである「ます渕貯水池」とさして変わらないことになる。
門司港には、門司港地ビール工房が造る地ビールがある。 コンテストでの賞を獲得したこともある地ビールだが、ここでも門司港の水の質がセールスポイントになっている。
ミネラル豊富で腐りにくい性質の門司港の水を使用した地ビールとのこと。 ミネラル豊富ということは、硬度が高いということなのか? 翻訳会社の調査隊は硬度について調査を行った。ちなみに、硬度とは、水の中に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量のことである。
その結果、葛牧浄水場の水が、平均97(mg/l)なので、有名なミネラルウォーターのエビアンと同じ「中硬水」に分類されるものの、大部分を占めていると考えられる井手浦浄水場の水は、平均35(mg/l)と「軟水」に分類される硬度であった。
これはこれで生活には適している硬度なのだが、もっと硬度が高いのではないかと期待していたので残念。
浄水場名 |
硬度(mg/l) |
最高 |
最低 |
平均 |
井手浦浄水場 |
47 |
25 |
35 |
葛牧浄水場 |
120 |
50 |
97 |
2002年度のデータ
数回にわたる測定結果に基づいていることに留意。 |
恐らく、小倉南区には平尾台というカルスト台地があるぐらいだから、小倉南区の「ます渕貯水池」の水はそこそこ硬度が高いのではないかと思うが、他の油木貯水池や平成大堰からの水とブレンドされた結果、このような硬度となるのではないかと推測される。
昔、門司には大手ビール会社の工場(桜ビールを生産していた帝国麦酒門司工場、後にサッポロビール九州工場)があったし、今でもニッカウヰスキーの門司工場が創業している。港も近く、出荷にも都合が良いことも要因だろうが、やはり肝心の水が悪ければダメである。そういうことを考え合わせると、確かに昔の門司の水というのはビールなどを製造するのに適していたということなのだろう。
ちなみに、サッポロビール九州工場は大分県の水郷日田に移転した訳だが、確かに、日田の地下水を汲み上げて使った方が、水道料金の面でコストを抑えることができ、また、日田は天領水に代表されるように水に対するイメージが良い。現代的な選択と考えられる。
田吹(たぶき)
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